特集|大人も読みたくなる絵本 vol.4 ピーナッツシリーズの絵本
8月。夏も本番。
クーラーで程よく冷えた寝室に横たわる。
最近、カモメのモビールを寝室の天井につけたので
クーラーの風にあたり、気持ちよさそうに泳いでいる。
絵本だけでなくそんな空気ごと憶えててくれるといいな。
なんて思いながら真夏の夜の読み聞かせ。
今月は谷川俊太郎訳 ピーナッツシリーズから
スヌーピーといえば、言わずとしれた、
世界中で愛されている連載漫画ですが、
訳はここでも谷川俊太郎さんです。
以前にも谷川俊太郎さんの作品の多さに、
私たちがいかに谷川さんの言葉に育てられているかを書きましたが、
ピーナッツシリーズも谷川さんの翻訳です。
今回は大好きってどんなこと?しあわせってどんなこと?
などについて書かれた絵本というより詩集のような1冊。
上の子も5歳になって、色々なことがわかってきました。
そんなこどもにもわかることばで
「LOVE」「HAPPINESS」「FRIENDS」について描かれています。
まず1冊目は「スヌーピーのしあわせはあったかい子犬」
全シリーズ第一冊目として刊行されたこの本は、すべて
「しあわせは~」ではじまっていて、
こどもにもわかりやすい。
と同時に大人の心にも響きます。
人生におけるしあわせとは、
本当にすぐそこに転がっているようなこと。
たわいもないことにしあわせを感じたとき、
人生が少し楽になります。
人生ってたいへんなこともあるけれど、
本来しあわせは誰かとくらべるものでなく、
自分のこころで感じるもの。
この本にあることばを知っているか知らないかで
人生が違ったものになるかも。
娘たちにはそんな気持ちで読んでいます。
「しあわせはドアをあけたら好きな人」
「しあわせは自分のベッドで眠ること」
「しあわせはドアの取っ手に手が届くこと」
「しあわせは夜じゅうついてる小さな明かり」
絵自体はモノクロなので紙の色もいい味だしてます。
2冊めは「スヌーピーの友だちがほしい」
友だちって人数でもなんでもなく、
自分のあるがままを受け入れてくれる誰かであり、
ほかに友だちがいてもやきもちをやかない誰かであり、
同じ音楽が好きな誰かなんだって
他にも色々たとえればきりがないかもしれないけど、
たとえばこういうこと。
3冊の中で一番わかりにくいかなぁ。。
とも思いますが、
きっと友だちのことで悩む時期が来ることがあると思うので、
お母さんは読みますよ。
「誰も僕のことを気になんてしてない・・・」
落胆するチャーリーブラウンにルーシーが「友達を定義して!!」
チャーリーブラウンの友だち観が全く理解できないルーシー。
友だちがいなくたってhappyなお気楽ルーシー。まぁこれはこれで大事な考え方かも。
友だちって「あるがままのぼくを受け入れてくれる誰か」
友だちって「他に友だちがいてもやきもちをやかない誰か」
色々話してライナスが友だちだと気がつくチャーリーブラウン。
親友はすぐそばにいましたね。
近すぎて気が付かないということってたまにあります。
チャーリーブラウンはライナスがいてよかった。
最後は「スヌーピーの大好きって手をつないで歩くこと」
そして、この3冊の中で私が最も好きなのが
(どれも好きだけどとりわけ)
こちらの1冊。
まず題名の「大好きって手をつないで歩くこと」っていうのがいいですね。
大好きだと手をつないで歩きたくなるもんです。
心があたたまります。
「大好きってふたりだけの歌があること」
「大好きってくすぐっちゃうこと」
「大好きってさよなら言うのがいやなこと」
「大好きって運動場の向こうの彼女を400人の他の子たちから見分けられること」
「大好きってあの子がしあわせだって知るだけで自分もしあわせになること・・・
でも、それはそんなにたやすくない。
どれもなんてことないけれど、名言と思います。
「LOVE」「HAPPINESS」「FRIENDS」
のような少々概念的な言葉は
小さなこどもには教えづらい。
でもとっても大事なことなので
伝えたいなって思いますよね。
難しい言い方をしなくても
わかるってことを、
作者のチャールズ・M・シュルツと
訳者の谷川俊太郎さんは教えてくれます。
自分のときはほとんど記憶も意識もないから
こういったことは自然に覚えていくのかもしれないけど、
あたたかくわかりやすい言葉で
そして人生のはやいうちに
知ることができたら、
ちょっと違ってくるのではないかな。
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